【イベントレポート】“モンスター”と体験するフェイクニュースの仕組み「フェイクニュースモンスターズ展」表参道で開催!
【イベントレポート】“モンスター”と体験するフェイクニュースの仕組み「フェイクニュースモンスターズ展」表参道で開催!
LINEヤフーが提供する「Yahoo!ニュース」は、ハロウィンならではの可愛らしいモンスターたちと一緒に、フェイクニュースの仕組みを学べるイベント「フェイクニュースモンスターズ展」を2025年11月3日(月・祝)まで開催。POPAP編集部が実際に体験した会場の様子から、LINEヤフーとともに企画・ディレクションを手がけた電通の皆さんへのインタビューまでイベントの魅力を余すことなくお届けします!
■開催概要
開催期間:2025年10月24日(金)~11月3日(月・祝)
営業時間:平日 13:00〜20:00 / 土日祝 11:00〜19:00 / 最終日 11:00〜17:00
開催場所:Rand表参道
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4丁目24-3
入場料 :無料
イベント特設サイト:https://events.yahoo.co.jp/fakenewsmonsters/
モンスターたちとフェイクニュースの仕組みを体験!
まず会場に入ると、緑色のポップなモンスター「タイトルビッグマウス」がお出迎え。
その名の通り大きな口が印象的で、どこか憎めない可愛らしさも感じられます。
この「タイトルビッグマウス」は、事実を誇張・歪曲し、誤解を招く記事タイトルを生み出すモンスター。
来場者がマイクに向かって最近あった出来事を話すと、その内容が悪質な記事タイトルに変換され、モニターに表示されます。
試しに「雨が降った」と話しかけてみると──
「【疑惑!?】雨だけでなく…何か裏がある?政府も関与?」などの刺激的なタイトルが出現!
事実を述べただけの発言が、見出しによって全く違う意味を帯びる。その危うさを実感できる展示でした。
次に現れたのは、メガネをかけた賢そうなモンスター「データバイアスザウルス」。
「データバイアスザウルス」は、データの数値やグラフを都合よく操作し、印象をコントロールすることでフェイクニュースをつくり出すモンスターです。
例えば、画像のグラフは実際には大きな伸び率ではないものの、3Dグラフの遠近法を利用することで、あたかも急成長しているように見せています。こうした“見せ方”による印象操作が行われることもあり、データを読み取る際には表面上の形だけでなく、数値や構成にも目を向ける必要があると気づかされます。
グラフは本来、主張に説得力を持たせる強力なツール。だからこそ、見せ方ひとつで印象が変わるデータを、私たちはつい疑わずに受け取ってしまいがちです。
この展示では、操作された4つのグラフの事例を通して、データを“どう見るか”という視点を養うことができます。
続いて登場したのは、たくさんの手を持つマジシャンのようなモンスター「AIイリュージョニスト」。体験を待つ来場者の列もできていました。
実際に列に並んで体験!AIイリュージョニストの前に設置されたカメラで自分の顔を撮影します。「少し深刻な表情で」とのアドバイスに従い撮影すると──
モニターには自分の顔が使われた“フェイク画像”が出現!
表情も相まって、かなりリアリティのあるスクープ画像になっていました。
この「AIイリュージョニスト」は、AIを用いて現実に存在しない画像や動画を生み出し、フェイクニュースを作り出すモンスター。来場者が自分の顔写真を撮影すると、モニターには自分が登場するフェイク画像が次々と映し出されます。AIを使えばいとも簡単にフェイクニュースを生み出せる。そんな現代の恐ろしさを、ユーモラスに実感できる展示でした。
その他にも会場内には、モンスターたちと一緒に撮影できるフォトスポットや、モンスターたちのステッカー配布など、遊び心満載のコンテンツが盛りだくさん。
「フェイクニュースモンスターズ展」誕生の裏側を語る
今回POPAP編集部は、本イベントの企画・ディレクションを手がけた電通の皆さんにインタビューを実施。フェイクニュースという少し難しいテーマを、どのように“楽しく・親しみやすく”伝える展示に変えたのか。
その企画背景と工夫を伺いました。
「モンスター」を通じてフェイクニュースに関心を
—「フェイクニュース」をテーマにしたイベントを企画された背景や経緯を教えてください。
クリエイティブディレクター佐藤佳文さん:最近、フェイクニュースが増えていて、しかもAIでどんどん高度化しています。だからこそ、ニュース配信プラットフォームのYahoo!ニュースさんがこのテーマに向き合う意義があると思いました。フェイクニュースの仕組みをモンスターとして表現するアイデアを提案し、今回の展示実施につながりました。
—「タイトルビッグマウス」や「データバイアスザウルス」など、可愛くキャッチーな名前のモンスターたちが印象的です。「モンスター」のモチーフを選んだ理由を教えてください。
アートディレクター萬田さん:フェイクニュースというややとっつき辛い題材をベースとしているため、全くのゼロからの架空のモンスターを設定するよりも、「ネズミ」や「恐竜」「モグラ」など、馴染みのモチーフをベースにしたものの方が、より親しみやすさ、とっつきやすさが作れるかと考えました。モンスターの特徴や語感とそれらのモチーフの相性が良いものを組み合わせて各モンスターを制作しました。
—それぞれのモンスターをデザインする際に意識された点や、特に工夫された部分があれば教えてください。
アートディレクター萬田さん:フェイクニュースモンスターたちは悪者で、イヤな奴らたちです。ただ、彼らを恐ろしい・邪悪な存在として描き切るよりも、見た人が発話しやすいような「マヌケさ」を作ることをとても大切にしました。
“誰でも楽しめる”を大切に
—今回のイベントの中で、特に注目してほしい見どころや体験コンテンツを教えてください。
クリエイティブディレクター佐藤佳文さん:まず、日本ファクトチェックセンターの古田大輔さんに監修いただきながら、フェイクニュースの仕組みを整理し、10体のモンスターキャラクターをつくりました。フェイクニュースのさまざまなパターンを、かなり網羅できていると思います。
一番のおすすめは、自分の写真がフェイクニュース記事にされる「AIイリュージョニスト」で、自分がフェイクニュースになる体験は普段ないので、新しい体験になると思います。
—特に、来場者が会場で発した内容が過度に誇張されたタイトルとして表示される「タイトルビッグマウス」は、フェイクニュースの生成過程をリアルに体感できる仕掛けだと感じました。このアイデアがどのようなプロセスで生まれたのか教えてください。
クリエイティブディレクター佐藤佳文さん:誰もが楽しみながら体験できるように、日常の出来事をフェイクニュース化できる仕組みを考えていたときに、「声を発するだけでフェイクニュースになる」体験ができたら面白いのではと思い、誕生しました。
—フェイクニュースに無関心な層にも来場してもらうために、どのような工夫をされたのか教えてください。
アートディレクター萬田さん:あまり硬いお勉強のようなムードで展示を行うのではなく、ハロウィンシーズンと絡めつつ「なんだこのキャラクターたち?」と、ビジュアルで惹きつけられるような設計を目指しました。
—他のイベントと比べ、今回のイベントは来場者が情報への向き合い方を考える“学び”の要素が強い印象です。このようなイベントを構築するうえで、特に意識されたポイントがあれば教えてください。
クリエイティブディレクター佐藤佳文さん:ただの学習コンテンツでは、なかなか興味を持ってもらえないテーマなので、できるだけ“誰でも楽しめる入口”を意識しました。かわいいキャラクターや、簡単な動作で面白いフェイクニュースを体験できるコンテンツ、店内のBGMやLINEスタンプなど、ハードルの低いさまざまな入口を用意しています。。
POPAP編集部より
実際に「FAKE NEWS MONSTERS展」に足を運び、自分は騙されないと思っていたフェイクニュースが、実は誰にでも作れてしまう、拡散できてしまう時代にあることを実感できました。どのように情報と付き合っていくか、改めて考えるきっかけとなる展示です。会期は11月3日(月・祝)まで。ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか!