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山縣瑠衣、苅部太郎による二人展「暗箱間航行術 Inter Black Box Navigation/ Measure, Draw, Map, Code」を1月13日から東京にて開催


  • 229GALLERY Taito City, Tokyo, 110-0016 Japan (map)

画家の山縣、写真家の苅部による二人展「暗箱間航行術 Inter Black Box Navigation/ Measure, Draw, Map, Code」が1月13日から2月12日まで東京・229GALLERY にて開催

現代の絵画と写真の背後でうごめく、ブラックボックスと化したカオスな情報技術の問題を表現

山縣瑠衣、苅部太郎による二人展「「暗箱間航行術Inter Black Box Navigation/ Measure, Draw, Map, Code」」が、1月13日(土)より開催されます。本展示は、現代の絵画と写真の背後でうごめく、ブラックボックスと化したカオスな情報技術の問題を取り扱っています。
画家の山縣は、地図表現と衛星画像を用いて、身体の認識に焦点を当てた作品を提示します。一方、写真家の苅部は機械学習されたAIを騙し、意味の読み取りを失敗させることで生じる画像によって新たな風景を作り出します。

■開催概要

●展覧会タイトル:暗箱間航行術 Inter Black Box Navigation/ Measure, Draw, Map, Code
●作家名:山縣瑠衣(Rui Yamagata)・苅部太郎(Taro K aribe)
●場所:229GALLERY (東京都台東区台東4-24-2)
●会期:1月13日(土) ~2月12日(月・祝) *最終日は19:00まで
●開場時間:12:00~20:00
●入場料:無料
●オープニングレセプション: 1月13日(土) 19:00~23:00 ※エントランスフリー

■展示概要

山縣瑠衣、苅部太郎による二人展「暗箱間航行術 Inter Black Box Navigation/ Measure, Draw, Map, Code」が、1月13日(土)より開催。本展示は、現代の絵画と写真の背後でうごめく、ブラックボックスと化したカオスな情報技術の問題を取り扱っています。
画家の山縣と写真家の苅部の二人が出発点とするのは、17世紀に登場したカメラ・オブスクラ(暗箱)です。この装置は遠近法の確立に大きな役割を果たし、以後の芸術家たちは、事物を“ありのまま” に捉えることができるようになりました。
しかし、画像認識や生成AIのなかで生きる現代の私たちにとって、技術は現実を忠実にうつす道具ではありません。むしろ、技術は私たちの手を離れ、独自の生命を持っているように思われます。
こうした技術の領域のただなかを、山縣と苅部は軽やかに航行します。

■ステートメント

古代コリントに暮らす乙女は、遠くへ旅立つ恋人の姿をとどめようと、灯りに照らされた彼の影の輪郭をなぞった。プリニウスの『博物誌』に記される「絵画の起源」とされるこの逸話は、絵画の本質は過ぎ去る現実を想起可能なかたちで複写することにあると示している。時は流れ、17世紀にドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが名づけたカメラ・オブスクラが登場すると、真っ暗な部屋の壁に小さな穴から取り込んだ外光を投影するこの装置は、画家たちに風景をより正確に描く術を与えた。カラヴァッジョなどの近代の画家は、このツールを利用して光と影、遠近法の技術を発展させ、より巧妙で、科学的な現実のシミュレーション(イリュージョン)を平面上に発生させるシステムの可能性を追求した。

このイメージを定着させる技術は、19世紀に感光材料の発明とともに写真機に進化し、現代では機械学習による画像認識や人工衛星など、より自律性を高めつつこの惑星を写し出している。カメラ・オブスクラを起点に急接近した絵画と写真は、その後互いに影響し合いつつ独自の道を歩みながら、加速度的に発展する情報技術のブラックボックスという暗箱の中で再接近している。

この文脈で、画家の山縣瑠衣は、地図表現を垂直の視点からの風景描写と捉え、衛星画像やドローンなどを使ってイメージ獲得の場=認識における身体のあり方を探求している。写真家の苅部太郎は、機械学習された画像認識・生成AIを騙して、テクニウムの視覚空間に幻の風景を立ち上げる。ふたりの作家は現代におけるブラックボックスを「イメージを見立てる(見紛う)ことの現場」と捉え、絵画と写真それぞれの軌跡を交差させながら、デジタル時代の暗箱を渡り歩くための航行術を考察する。

■作家プロフィール

山縣瑠衣 / Rui Yamagata

1997年生まれ。衛星画像やデジタル地図における表現や視覚を扱い主に風景画や映像を制作。2022年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。
主な展示に、「Ground Zero」(京都芸術センター,2023)、個展「Measure your pixel」(TAV GALLERY,東京,2023)、「遊歩する分人」(MA2 Gallery, 東京,2022)、「界面体」(CON_,東京,2022)、「地表の掻き傷」(東京藝術大学大学院 修了制作展,東京,2022 )
IG: @sirome_sirome

苅部太郎 / Taro Karibe

1988年生まれ。テクノロジーと人間の見る経験との関係性に関心を持ち作品制作を展開。東京藝術大学大学院映像研究科主催:RAM Association所属。
主な展示に、「Electric Caveman」(HECTARE, 東京, 2023)、「イメージの実験場: 浅間国際フォトフェスティバル」(MMoP, 長野, 2023)、「Platform 29.8」(ANB Tokyo, 東京, 2022)
IG: tarokaribe

■229GALLERYについて

新御徒町駅から歩いてすぐの隠れ家的スペース”229”。地下1階にギャラリーを構えるほか、同ビルの1階では、ブックカフェ&バーを展開。2階には美容室も併設しています。ギャラリー空間だけでなく、写真集や本を読みながらコーヒーからお食事、お酒までお楽しみいただけます。
Instagram: @229.4242


■POPAP編集部より

画像認識や生成AIのなかの技術がどんどん進歩するなか、芸術の表現方法も、鑑賞する側の審美眼も、今一度問い直されているように感じます。本展示をきっかけに、現代の絵画と写真の背後でうごめく、ブラックボックスと化したカオスな情報技術の問題に、あなたも触れてみませんか?

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