【ブランドインタビュー】『絆』から生まれた温かい場所。「はるまいカフェ」が大切にする、〜人と人が繋がるポップアップ〜
【ブランドインタビュー】『絆』から生まれた温かい場所。「はるまいカフェ」が大切にする、〜人と人が繋がるポップアップ〜
POPAP編集部は、実店舗を持たず、ポップアップイベントを中心に活動されている「はるまいカフェ」のはるかさんとまいかさんにインタビューを行いました。
「繋がり」を大切に活動されているお二人。実店舗を持たないカフェの開業経緯から、人との繋がり、そして未来の展望まで、POPAP編集部のももが深くお話を伺いました。
◾️はるまいカフェについて
左:はるかさん 右:まいかさん
某コーヒーチェーン店での現役バリスタのまいかさんと、2年半のパティシエ経験を持つはるかさんのユニット。
東京を拠点に各地でポップアップカフェを展開。
「空間を通して暖かい繋がりが広がる」をモットーに、お客様に心地よいひとときと、人と人との温かい交流の場を提供している。
◾️出会いは4年前。シェアハウスが結んだ二人のバリスタ
ー お二人の出会いのきっかけは何でしたか?
まいかさん: 私が今住んでいる「シェアハウス」の立ち上げ初期の頃に、系列のシェアハウスに住んでいたはるかさんが、1ヶ月間立ち会いという留学に近い形で来てくれたのが最初です。それが4年前のことでした。
はるかさん: 当時、まいかさんは大手コーヒーチェーンで、私も別のチェーン店でバリスタをしていました。
まいかさん: そうなんです。「バリスタ」という共通点があり、目指す目標が一緒だったこともあって、すぐに波長が合いました。
編・もも: 仕事関係かと思いきや、シェアハウスでの出会いだったのですね!
はるかさん: シェアハウスを経営している社長が、「物語コーヒー」という、小説の物語に合わせたコーヒーを届けるサブスク事業を別に手がけていたのです。残念ながら今はもうクローズしてしまったのですが、社長もコーヒーが本当に好きで。
編・もも: なるほど。当時から「コーヒー」で繋がっていたのですね。
まいかさん: サブスクサービスだとお客様に直接会う機会がありません。そこで社長が「一度、ポップアップカフェを開きたい」となり、バリスタとコーヒーに合わせたお菓子を作ってくれるパティシエを探すことになり、私たちがお手伝いを始めました。
はるかさん: 丸一年くらい、毎月ボランティアのような形で「物語コーヒー」のポップアップでお菓子を作ったり、コーヒーを淹れたりしていました。
まいかさん: その経験を通して、「自分たち二人でもカフェができるかもしれない」と夢が膨らみました。
◾️「繋がれる場所」を維持すること
編・もも: 「物語コーヒー」のポップアップでお客様と接する機会が増えて、何か感じたことはありましたか?
まいかさん: もし「物語コーヒー」が終わってしまうと、「みんなと繋がれる場所」がなくなってしまうと思ったんです。ポップアップに来てくれる友人たちも「毎月、二人に会えて嬉しい」と言ってくれて。
はるかさん: それに、シェアハウスのメンバーからも「二人でカフェをやってほしい」という後押しがありました。
まいかさん: その声に背中を押されて、「物語コーヒー」終了から一年半後、「はるまいカフェ」としてスタートを切りました。
◾️物語コーヒーで得た「経験」と「安心感」
編・もも: カフェを始めるというのはハードルが高いイメージがありますが、お二人はどのように感じていましたか?
はるかさん: 「物語コーヒー」をやっていた時に、何を準備すればいいか、どのような流れで運営するのかという一連を経験できたおかげで、比較的ハードルは低く感じられたかもしれません。
まいかさん: あとは、最初は招待制で知り合いしか呼んでいなかったという安心感も大きかったです。自分たちのペースで経験を積み、「これなら全く知らないお客様に来ていただいても大丈夫そうだ」という状態まで、段階的に進めることができました。
◾️パティシエと接客。二人が追い求める「喜びの循環」
編・もも: はるかさんは2年間パティスリーでの経験を経て、バリスタやお菓子屋さんで働いていると思うのですが、パティシエとしてお菓子を作るのと、カフェで接客するのはどちらが好きですか?
はるかさん: 難しい質問ですね…。パティシエは籠って作業することが多いので、お客様との関わりが少ないんです。自分で作ったもので喜んでもらえることが一番の喜びだったので、その喜びがないのは寂しい。一方で、カフェの接客ならコミュニケーションは取れるけど、お菓子は作れなくて(笑)。このバランスが本当に難しくて…でもどちらも好きなんです。
編・もも: どちらも好きでいられるのは素敵ですね。
はるかさん: カフェで働いていた方が、外との繋がりが作れるし、常連さんや今でも仲良くしてくれる方との関係が続くのが嬉しいです。
編・もも:まいかさんも「繋がり」を大切にされていますよね。
まいかさん: 本当に大切にしています。一番嬉しかったのは、疎遠になっていた友人が遊びに来てくれたことです。一対一で会うのは少し言い出しづらかった関係の友達が、この場所があることで来てくれて、そこからご縁が復活する。自分たちで始めたからこそ、「この場所に来てくれた」という特別感があり、こうした場で再会できたことが感動的でした。中には5年ぶりに会う友達もいました。
はるかさん: ゼロから自分たちでやっているからこその達成感もありますし、お客様からお金をいただくことのありがたみも強く感じました。そして、何より応援してくださる方々の存在が本当に嬉しいです。
まいかさん: 私の知り合いと、はるかさんの知り合い同士が楽しそうに話している光景を見るのも、このカフェでしか見られない面白さです。大切な人たちが集まっている状況が、毎回結婚式をやってるみたいな感覚になるんですよね(笑)。結婚式を挙げたことはありませんが(笑)。
編・もも: まさに、一種のコミュニティの場になっているのですね。
はるかさん: そうなんです。繋がりが広がるのが、この活動の醍醐味です。
◾️「引っ越し」のような仕込み。間借り運営のリアルな苦労
編・もも:ポップアップ当日の仕込みはかなりハードだと思います。実際、どのような進め方をしているのですか?
まいかさん: お菓子は、菓子製造許可が出ているキッチンでないとお客様に提供できません。そのため、ポップアップ当日の朝から4時間くらいかけて、間借りした場所で一気に作ります。
はるかさん: 間借りした場所の近くのスーパーで買い出しをして、荷物を運び込むのですが、毎回引っ越しみたいな量になるんです。それが間借り運営の一番大変なところですね。
編・もも: 自宅で作れない分、当日の朝に集中するのは大変そうですね。
はるかさん: 万が一何かあった時のために、クリアな状態で提供したいという思いがあるので、朝早くても頑張っています。
まいかさん: しかも、そのスーパーにお目当ての食材がないこともあって焦ります(笑)。明日のために用意しておく、ということができないので、当日になって「ブルーベリーがない!」なんてこともあります。
編・もも: ブルーベリーがないスーパーって珍しいですね!?(笑)。
まいかさん: あとは、予想以上にお客様が来てしまい、コーヒーがなくなるアクシデントもありました(笑)。
はるかさん: 1日限定の営業だからこそ、どれくらい用意すべきかの判断は、最初はすごく難しかったです。
◾️ 今後の「はるまい」が描くカフェの理想像
編・もも: 今後、お二人が思い描いているはるまいカフェの理想像を教えてください。
まいかさん: ここに来て「ほっとした」「気持ちが落ち着く」場所を目指していきたいです。「繋がり」は今後もずっと大切にしていきたいテーマです。そして、私たちのカフェが、人々の繋がるコミュニティの中心になったらいいなと思っています。
はるかさん: あとは、「行きたかったのに来られなかった人にも『はるまい』の味を届けたい」という夢があります。
編・もも: それは通販のような感じですか?
まいかさん: はい、イメージはECサイトでの販売です。金曜に間借りした場所でたくさんお菓子を作って、土曜に営業、そして作ったお菓子は月一限定でEC販売する、というサイクルです。私の実家が関西なので、家族にも届けたいと思ったのがきっかけでした。
はるかさん: いつかはマルシェにも出店してみたいですね。新しいお客様との出会いを肌で感じたいです。
まいかさん: このインタビューも、また新しい「繋がり」のきっかけになると信じています。
◾️POPAP編集部より
実際のカフェ空間を見ていないにも関わらず、お二人の話から「はるまいカフェ」の温かい温度を感じました。
それは、「繋がり」というテーマを、単なるコンセプトではなく、これまでの経験と人への想いを丁寧に積み重ねてきた結果だと確信します。
印象的だったのは「ここに来てほっとした、気持ちが落ち着く場所を目指していきたい」という言葉で、その言葉は実際におふたりが日々の関わりの中で大切にしてきた価値観そのものだと感じます。
おふたりの信頼し合う優しい関係性こそがお店の温度となり、次は必ず実際のカフェでこの空気を感じたい。そう思わせてくれる素敵なおふたりでした。