【ブランドインタビュー】捨てない選択が、新たな価値と繋がりを生む。enloop®︎が手掛けるリメイク家具の魅力

【ブランドインタビュー】捨てない選択が、新たな価値と繋がりを生む。enloop®︎が手掛けるリメイク家具の魅力

enloop®︎(エンループ)は、総合リサイクルを手掛けるサイクラーズグループの、リメイク家具ブランドです。廃棄されるはずだったモノにデザインの力で新たな価値と命を吹き込み、人とモノを再びつなぐ取り組みを行っています。
先日(2026年5月5日)、POPAP編集部の村田が偶然、代々木上原で開催されていたenloop®︎のポップアップストアを訪れました。実際に家具に触れ、その一つひとつが生まれ変わるまでのストーリーを伺うなかで、ブランドの考え方やものづくりへの姿勢に強く惹かれ、インタビューをオファーさせていただきました。
「なぜこのブランドが生まれたのか」「どのような想いでデザインと循環を結びつけているのか」を読者の皆さまに届けます。

 

⬛︎ブランドの成り立ち

村田(インタビュアー)
本日はよろしくお願いします。まず、ポップアップで拝見したenloop®︎(エンループ)というブランドについて、グループの中でどのような役割をになっているのか教えていただけますか。

山下さん(グループ広報担当)
はい。私たちサイクラーズグループは、金属リサイクル・産業廃棄物処理業を営む東港金属を中心に資源リサイクル事業と、環境機器事業を展開しています。その中で、リユース事業を行うのがトライシクル株式会社です。
enloop®は、トライシクル株式会社に入ってくるリユース品の中で、リユースが難しい状態の物 で廃棄される予定だった家具・素材に、デザインの力で新たな価値を吹き込む、サイクラーズのリメイクブランドです。モノが持つ背景や素材の魅力を活かし、世界にひとつだけの家具や雑貨として生まれ変わらせ、次の使い手へとつないでいます。現在は3名の美大出身のデザイナーがリメイクを手掛けています。 

村田
なるほど。ブランドとして“リメイク家具”を手がけているのが enloop®︎ なんですね。

山下さん
そうです。リメイク家具や雑貨のデザイン・製作は enloop®︎ のデザイナーが手がけています。商品の販売はインテリアセレクトショップのPearl [re] Pearl(パール レ パール)で行っています。ここではリメイク商品だけではなく、デザイナーがセレクトしたセカンドハンドの雑貨や家具も扱っています。

 

⬛︎デザイナー第一号としてのスタート

村田
三谷さんは、 enloop®︎ のデザイナー第一号として入社されたと伺いました。

三谷さん(enloop®︎デザイナー)
はい。2022年に入社しました。もともと会社として「リメイク家具の事業を立ち上げたい」という構想があり、そこに美大出身のデザイナーとして入社しました。入社後は会社の様々な業務を行うとともに、試行錯誤でリメイクに取り組みました。翌年にもう一名、デザイナーが入社して仲間が増え、本格的にリメイク事業を開始。enloop®︎ というブランドの立ち上げが実現しました。

⬛︎enloop®︎らしさとは?

村田
enloop®︎ならでは の“ブランドらしさ”はどんなところにあると思いますか。

三谷さん
まず、同じ母材が入ってこないんです。ホテルや企業等から仕入れる中古家具は、その時々で種類も状態も異なるため、基本的にはすべて一点ものです 。だからこそ、一般的な家具屋さんにはない一点ものならではの特別感を大切にしています。使われてきた時間の跡や素材の個性をそのまま魅力に変えることが enloop®︎ らしさだと思っています。

村田
たしかに、学校の椅子やホテルのチェア、鳩時計の鳩を使用した小物入れなど、懐かしさや物語を感じる家具が多かったです。

 

⬛︎活動の広がり ― ポップアップと企業案件

村田
普段はオンライン販売が中心とのことですが、実際に作品を見られる機会もあるのでしょうか。

三谷さん
はい。
年に数回、イベントやポップアップストアに出店しています。基本的にInstagramやオンラインストアを見て来てくださる方が多いですが、中には会場で偶然enloop®のプロダクトに出会い、その個性やデザインに一目惚れして購入される方もいらっしゃいます。 

村田
企業からのご依頼もあると伺いました。

三谷さん
はい。解体される映画館の様々な廃材の中から活用できるものを選び、映画館のファンの方への感謝を込めたクラウドファンディングの返礼品をデザイン・製作してほしいといったご依頼が特に印象に残っています。
他にも、依頼を受けるものによって、布やアクリルなど素材はさまざまですので、毎回、その素材をどう活かすかをゼロから考えています。

⬛︎ワークショップという新しい接点

村田
ワークショップも開催されているんですよね。

三谷さん
はい。廃材を活用した様々なワークショップを開催しています。過去には、コロナ禍に使われたのち役目を終え大量廃棄されたアクリルや、椅子の張り生地、木の端材を活用したブーケづくりワークショップを行いました。生地や植物の種類を変えることで季節ごとに楽しんでいただける内容にしています。

他にも、モビールづくりのワークショップも行っています。 材料には元々テーブルの天板として使用され、配送中の欠けや割れなどが原因で廃棄となった大理石の端材と、アクリル・椅子の張り生地を活用しました。これらのワークショップの参加者は大人の方が多いですが、お子さまにも楽しんでいただける内容です。

 

⬛︎誰に届けたいか

村田
enloop®︎ の家具を、どんな方に使ってほしいと考えていますか。

三谷さん
リメイク家具は、ほとんどが1点もののため、ひとつひとつに向き合い、その家具・素材に合った再生方法、加工方法を考えデザイン・リメイクをしています。そのため、どうしてもコストや手間がかかることもあります。それでも、その家具が持つこれまでの物語に魅力を感じてくださる方に届いてほしいです。
30代以上の方に手に取っていただくことが多い印象ですが、まずはデザインに惹かれて選んでいただき、その結果として「実は環境に優しい商品だった」と感じてもらえる体験が広がればと思っています。

⬛︎作品を送り出す瞬間

村田
ご自身の作品が売れた瞬間は、どんなお気持ちになりますか。

三谷さん
嬉しいです。行ってらっしゃいという気持ちになります。新しい持ち主のもとで、また長く使ってもらえたらいいなと。

⬛︎今後の展望

村田
最後に、今後の展望について教えてください。

三谷さん
“環境に優しいから選ぶ”ではなく、“好きだから選んだ”。そんな自然な選択肢として、より多くの方に届けていきたいです。デザインの価値をさらに高めながら、より多くの人が無理なく循環に参加できるきっかけをつくっていきたいと思っています。

 

⬛︎ブランド情報

enloop®
enloop®サイト:https://www.enloop.info/
enloop® instagram:@enloop_remake

Pearl [re] Pearl
サイト:https://shop.pearl-re-pearl.com
Instagram:@pearl_re_pearl

 

⬛︎POPAP編集部より

enloop®︎の家具に触れていると、誰かの時間を受け継ぐような感覚になります。捨てられるはずだったものが、もう一度誰かのトキメキになる。その循環の美しさを、今回の取材で強く感じました。三谷さんの手から生まれる家具が、また新しい物語を紡いでいくのが楽しみです。