デザイナーユニットbe design studioーぞれぞれの想いと自分達らしい生き方とは

デザイナーユニットbe design studioーぞれぞれの想いと自分達らしい生き方とは

デザイナー2人によるbe design studio(ビーデザインスタジオ)は、シンプルながらもユニークなデザインを、ミレニアル世代ならではの視点から形にしていくユニット。今回は、クライアントワークからユニットでのオリジナルグッズの展開、そして海外での活動やフリーランスとして活動されているお二人の今の想いをお話ししていただきました。

デザイナー2人によるユニットbe design studioとは?

ーまず、初めにbe design studioというユニットが誕生したきっかけを教えてください。

natsumiさん:元々、友達だったことがきっかけです。yunoちゃんが、たまたま私のことをInstagramで見つけてくれて、実際に会って友達になりました。ちょうど出会った頃、私はデザインの勉強をしており、yunoちゃんもデザイナーとしてやっていて、一昨年の夏頃に「一緒にやらない?」とyunoちゃんに言ってもらえて一緒に活動していこうと思ったのが誕生のきっかけです。

ーInstagramから実際に出会って友達になってユニットを組まれたのですね。be design studioというユニット名の由来を教えてください。

yunoさん:be動詞の何にでもなれるという点と私たちも何者にもなりたいという想いが重なったからです。また、2人の好きなアルファベットは、bだったこともあり、「2人で名前を決めるなら、2人が好きなアルファベットにしたいね」とドライブしながら考えて決めました。由来もぴったりで愛着のある名前です。

beのグッズ

ーbe design studioとして活動する上での軸はありますか?

yunoさん:「自分達の好きなこと、好きなデザインをやる」ということが軸にあります。デザイナーあるあるだと思うのですが、最初は仕事がないからこそ「なんでもやります」というスタンスでジャンルや内容問わず、仕事をさせて頂くだけでありがたいと思って仕事に応えていました。しかし、不得意な分野で自分たちの色、納得した力が全く出せなかったことがあったので、クライアントに対していいデザインを届けるためにはしっかりと自分たちが内容・金額面など納得した上で仕事させていただくことを大切にしています。

ーbe design studio(以下beという)としての活動をする一方で、個人としてもデザイナーの活動をされていると思いますが、それぞれの活動を教えてください。

yunoさん:私は、現在東京を拠点に働いています。肩書きはフリーランスデザイナー。1つの会社に勤めず、beとプラスで色々な活動をしています。領域はグラフィックだけでなく、WEBやSNSのコンテンツ作りを行なっています。

natsumiさん:現在は、オーストラリアを拠点に活動しています。以前、日本にいたときはbeの他にもフリーランスデザイナーとして活動していました。領域は、主にグラフィック、エディトリアル、ロゴデザインなどです。最近は、メルボルンで日本食系のカフェと縁があって、デザイナーとして携わっています。

ーユニットで活動されている中で、お互いの存在について教えてください。

yunoさん:私にとってnatsumiさんの存在は、自分と似てる考えを持っていて、悩んだ時にヒントをくれる存在です。よく2人で川や道端でも話すことも多く、普段の会話を通してnatsumiさんから色々なヒントや発見を得ていました。似てる考えを持っている相方的な存在のnatsumiさんに「あーでもないこーでもない」とデザインの悩みや葛藤を聞いてもらえる環境はとても大切な時間でした。
そのため去年、natsumiさんが日本を旅立ったことによる喪失感は大きくメンタルブレイクがありました。その時にお互いの存在の大きさに気づけたことは大きかった出来事でした。1人でも大丈夫な人もきっといると思いますが、誰かと話しながらの環境が大事なクリエイターさんは、相方的なポジションが近くにいて会える環境にいるのがいいと思います。

natsumiさん:私にとってyunoちゃんは、大変なことがあっても一緒に乗り越えられるような大きな存在です。絶対、1人では無理だっただろうなと思うことが、yunoちゃんがいたことで乗り越えられたということはあると思います。やっぱり、お互いデザインの思考は似ているところがありながらもそれぞれの得意不得意な部分をお互いに補い合っている関係があったからこそ、1人では抱えきれないようなタスクや大きな仕事も乗り越えられたと思います。今は、なかなか会えない環境が寂しいですが、相方がいてとてもよかったなと感じます。

デザイナーの魅力について

ーユニットで活動されるからこそ壁に当たった時にもお互いで補い合う関係性がとても素敵だと感じました。お二人が、デザイナーになられたきっかけを教えてください。

yunoさん:きっかけは、デザインの大事さに気づいた経験からです。元々、iPhoneに興味があって、アプリとかを作るようなエンジニアを目指していました。しかし、本を色々読んでいる中でエンジニアの技術力だけでなく、魅せるデザインを怠ってしまうとその製品が成り立たないことを知りました。そこで私が惚れていたのはデザインだったことに気がつき、高校生の時にデザイナーになりたいと思って、進路を決めました。

natsumiさん:私は少し気づくのが遅く、学生時代はグラフィックデザイナーになりたいとは全く思っていませんでした。大学では、デザインとは程遠い経済学を勉強して、新卒でITの会社に入社しました。しかし、色々仕事していく中で資料作りやコンセプト作りにおいて相手に伝えるデザインの大切さに気づきました。また、その時に友人がデザインの専門学校に通っていて、そこでグラフィックデザイナーという職業があるということを知りました。調べていくうちに、グラフィックデザインが自分がとても好きなことだと気がついてから、専門学校に通って技術と物の見方を学びデザイナーになりました。

ーお二人ともあるタイミングで「デザインの大事さ」に気が付かれたことがデザイナーを志す転機だったのですね。これまでに大変だった事や逆にやりがいに感じた事を教えてください。

yunoさん:沢山の賞を受賞したり、売れるデザインを作ったり、世の中には凄いデザイナーさんがたくさんいると思います。そのような様々なデザイナーさんがいる中でも私たちのデザインを見てお願いしてもらえることがとてもやりがいに感じます。小さなことかもしれませんが、デザインに関係ないことでも日々やりがいを感じています。

natsumiさん:大変なことは、生み出す厳しさです。0から1を生み出すことは、何回やってもアイディアが出てこない時は大変で苦しむことも多いです。しかし、そこでいいアイディアが浮かんできたら、楽しく作業できたりして、生みの苦しさと楽しさは紙一重なところがあるなと思います。1番やりがいを感じる事は、私たちに依頼いただいたデザインで、ビジネスを助けたり喜んでもらえたりすることです。

beのグッズ

ーお二人がデザインされる際にインスピレーションを受けているものはありますか。

yunoさん:散歩です。おしゃれな散歩ではなく、本当になんでもない道を散歩することが多いです。2人で会う時もおしゃれなカフェに行くよりも歩いたり、川に座ったりしてアイディアを話し合います。整ったデザインよりも街中に貼ってあるチラシ、看板、歩いている人の持ち物など、完成されていない物の方がデザインとしては好みなので、散歩を通して自分たちのエッセンスを探しに行くようにしています。

natsumiさん:私も散歩からインスピレーションを受けることが多いです。例えば、街の壁をずっと見て歩く散歩は、予期せぬ出会いもあったりします。逆に意識してインプットする時は、美術館に行ってデザインに関係のない歴史や哲学の本を読んだり、絵画や映画を見たりしています。特に最近は、インプットが多いほどいいと思っていて、直接的にはデザインには関係のないインプットもきっとそれらが自分の知識になりデザインに活かされていくと思ってます。

川で会議している様子

ー日々の何気ない日常からもインスピレーションとして様々なことを吸収するお二人の感性が素敵だなと思いました。お二人が考えるデザインの魅力や面白さを教えてください。

yunoさん:デザインの1番の魅力は、”正解がないこと”だと思います。私は、今までエンジニアに興味があった中で、答えが1つということを学んできたからこそ、デザインの「自由で人によって違うところ」がとてもワクワクする点だと思います。また、アイディアを形にできるということは夢がありますし、妄想が現実になって、それを喜んでくれる人がいるというサイクルは、面白いなと魅力に感じています。

natsumiさん:すごくいいデザインは、シンプルながらもこれから先も素晴らしいデザインとしてあり続けられる点が面白いと思います。また、yunoちゃんが言っていたように会社員の時は与えられた仕事に対して1を100にしていくことは出来るけれど、自分で何かを生み出すことはできませんでした。しかし、デザイナーは0から生み出すことを当たり前にできて、自分たちの妄想から繋がって何かを実現できるということはとても面白くて好きだなと思いました。

ー最近、お二人の気になるデザインを教えてください。
yunoさん:去年の年末にニューヨークに行って見つけた「Sweet Pickles Books 」というお店です。ピクルス屋さんなのですが、本も販売しており、本棚の間にピクルスの瓶詰めやお店のグッズが置いてあるのが面白かったです。音楽や本のチョイス、HPもブランディングがしっかりとしていて感度の高いニューヨークにあるということもあり、今注目しています。

natsumiさん:私は、デザインより先のリソグラフという印刷技術が気になっています。リソグラフは一色ずつ色を重ねて刷っていく印刷方法で、普通の印刷機では出ない色や重なりが出てくるのが面白いと思い、注目しています。今後は、興味のある印刷技術を使ってプロダクトを作ってみたいという想いもあります。

自分達らしい生き方とは?

ーお二人それぞれの働き方について教えていただきたいです。yunoさんのフリーランスでの活動の魅力や選ばれた理由はありますでしょうか?

yunoさん:私がフリーランスになった当初は、コロナ前ということもあり今と比べて当時は珍しい働き方であったと思います。しかし、コロナで働き方が多様化して、以前のフリーランスのメリットはいい意味でも悪い意味でも少し薄れてきたと思います。また、1人だからこそ金銭面や精神的な部分や自分でやるべきことが多くなる点は、デメリットにも繋がると思います。しかし、その中でもフリーランスでよかったと思うことは、自然体でいることができることです。beを結成することはもちろん、社会的な関係に関わらず、私1人で色んな人と出会いやすく繋がりを作りやすいことは、自分としても幅を広げることができ、そこがフリーランスの魅力だと考えています。

ーフリーランスという働き方でもちろん大変な部分もあれば、幅広い繋がりを自ら作りやすい点はとてもメリットに感じますね。
natsumiさんもフリーランスで、現在海外を拠点に働かれていると思いますが、メルボルンでの生活や働き方について教えてください。

natsumiさん:メルボルンの生活は、日本と違いとても朝方の生活なので不便なこともありますが、自分の時間を日本にいた時より持てるようになったのは大きいと感じています。オーストラリアの人たちは、みんなおおらかで細かいことは気にせず受け入れてくれるので、日本にいた時よりも人の目を気にし過ぎず、自分のやりたいことを第1に生活できるようになりました。

働き方では、フリーランスデザイナーとして、そしてローカルのレストランとしても働いていています。レストランでは、海外の人達と働くことでコミュニケーションや相手をリスペクトしながら働くという人間的な部分も学べています。

ーこれからワーホリへいく方へ向けて何かアドバイスがあったりしますか?

natsumiさん:まずは、きちんと目的を持って行くことが大切だと思います。基本は、最初1年しかビザがおりないので、限られた中で何をするべきか事前に考えた方がいいと思います。また、英語のスキルも海外に行く前にしっかり上げておいた方がいいです。私は、最初英語が本当に話せなかったので、その分苦労することがありました。その他には、働く時に自分のスキルをアピールできるように準備しておくことです。デザイナーでしたらポートフォリオを持って、履歴書でどうアピールできるのかということをきちんと考えておいた方がいいかなと思います。

ー海外の人と働くことは、日本と違う部分も多くあり大変ではないですか。

natsumiさん:コミュニケーションが一番大事でもあり大変でした。日本だと上辺な会話でも一緒に働くことができると思うのですが、オーストラリアはとにかく相手と話すことが大事です。話していないと変に思われてしまうので、最初は戸惑いました。例えば、同僚に会った時の挨拶がめっちゃ早くて挨拶するだけでも大変です。最初は、相手が何言っているかわからなくて、「えっ?」て返すとコミュニケーションがうまくとれないと変な人に思われたりしてたので、同僚との日常のコミュニケーションが一番大変でしたね。

ーデザイナーとして周りと繋がる上で意識されていることがあればお聞きしたいです。

yunoさん:正直、今の時代インスタやイベントを通して色んな人に会いに行くこともいいと思うのですが、そのような場が苦手な人は自分の性格を押し殺してまでそのような場に入っていくのは自分が疲れてしまい、きっと欲しい繋がりが得られないと思います。自分にぴったりな場で会う友達が一生続くと思いますし、多分仕事も同じではないかと思います。beとしては、Instagramやpodcastがあるので、自分達の慣れ親しんだ場を通して更新してグッズなど色々届けていきたいなと思っています。

natsumiさん:繋がりだと意識的に繋がろうと思うとストレスだけど、何か作ってbeのインスタで発信したり個人のアカウントで公開すると誰かが見てくれるので、そこから「こんなの作って欲しい」とご連絡をいただくことがありました。やっぱり、自分の好きなことを好きな人と繋がった方がいいと思うので、自分の好きなカフェとか本屋さんの店員さんとかと仲良くなったりして、デザインの為の繋がりではなくて人間としての繋がりを増やしいくのはすごく刺激的でいいのではないかなと思います。

今後の挑戦

ー今後のお二人の挑戦したいことを教えてください。

yunoさん:クライアントワーク以外に自分達が本当に欲しいものを作りたいです。作ったことのないものもどんどん作りたいという思いもあるのですが、去年は一緒に作業する上で使う為のスウェットを作ったので、今年も2人でただただ欲しいお気に入りの一品を、2023年バージョンで作れたらと思っております。

natsumiさん:2人で作りたいものをゆっくりちゃんと作っていきたいです。クライアントワークする上でも2人で自分たちが本当に作りたいものを作っていると心も安定するし、そこに興味を持っていただいて依頼してもらえることも増えると思います。個人的には、グラフィックデザインの領域ではないこと、印刷や陶芸、書道などフィジカルなものを作る経験もやりたいと思っています。

beのグッズ

ー最後にお二人が今まで何かに挑戦された際に大切にされていることやモットーがあれば教えてください。

yunoさん:お仕事だからと自分の気持ちに蓋をするのではなくて、依頼されたからこそ自分たちの意見をしっかり保ちつつ、自分たちのbeとしての色を消さないように信念を貫くことを大事にしながら活動したいと思います。

natsumiさん:私は個人的にはやりたいと思ったらやってみることを大切にしています。しかし、やりたいことが「デザイナーになりたい」「メルボルンに行きたい」というような大きなことの場合は、周りに話すことで自分の考えを整理して挑戦するかしないかを判断するようにしています。ちょっと心がザワザワする時は挑戦してもいいことがないことがあると思うので、冷静になって判断します。beの挑戦でも2人で一緒に話し合いながら決断し挑戦しています。

最後に

インタビューを通して、お二人の周りに流されず自分たちの想いを大切に挑戦し続ける点がとても印象的でした。今後もbe design studioとして、そしてそれぞれ個人のデザイナーとしても活動し続けるお二人に注目です!是非、beさんのinstagramやHP、podcastでの発信から今後の活動をお見逃しなく。

アーティストプロフィール

■be design studio

デザイナー2人によるbe design studio(ビーデザインスタジオ)は、シンプルながらもユニークなデザインを、ミレニアル世代ならではの視点から形にしていくユニット。クライアントからのデザインワークはもちろん、ユニットオリジナルグッズ展開も行っている。

IG:@be_designstudio

■yuno

IG:@2026.24

■natsumi

IG:@cniupiniep_choa