【ブランドインタビュー】 環境に向き合うアーティスト宮崎栞奈の想いとは

【アーティストインタビュー】環境に向き合うアーティスト宮崎栞奈の想いとは

アートをきっかけに環境問題と向き合い、明るい未来を考える

今回POPAP編集部は、環境問題をテーマに活動するアーティスト宮崎栞奈さんにインタビューをさせていただきました。環境問題にポジティブに向き合い、新たなアートの在り方を発信する宮崎さんの魅力に迫ります。

ー宮崎さんの活動について教えてください。
環境問題に焦点を当てた作品を制作し、展示の他にもワークショップやライブペイントなどのイベントに参加しています。また、海岸に流れ着いたマイクロプラスチックと不要になったモノをリユースしたアップサイクルアートも発信し、アートを通じて社会問題に向き合っています。

ー環境問題をテーマに選んだきっかけを教えて下さい。

幼少期から自然は遊び相手で、とても身近な存在でした。今の制作にも大きく影響していることは、子供の頃に見た『もののけ姫』の最後は自然が勝つという結末です。自然と共生していくという思いは、どの作品にも込めています。より一層環境問題に焦点を当てるようになったのは、新型コロナウイルスによって生活が変化した頃からでした。それまでも環境をテーマに制作していましたが、抽象的な表現ではなかなか想いが伝わらず、作品を制作する意味に頭を悩ませていました。生活の変化によって自然に囲まれている環境の方が自分らしく生きることができると実感し、改めて自然との共生を目指した活動に取り組んでいます。

ー作品にはどんな思いを込めて制作していますか?
イベントごとにコンセプトは変えていますが、共通する大きなテーマは「人間や動物、自然といった命あるものに寄り添うこと」です。絵は「心の声」であり、言葉よりも深い表現方法であると考えています。自分が自然や空想に向き合った時に生まれる、言葉では表現できないことを絵を通じて表現しています。

ーマイクロプラスチックアートの制作のきっかけはありますか?

神奈川県茅ヶ崎市のサザンビーチを訪れた際に足元に散らばったカラフルなマイクロプラスチックを見つけ、まるで宝探しをしているような気分になりました。帰宅してから作品制作をし、その後改めてマイクロプラスチックについて調べていると環境問題が身近に迫っていることに気づきました。環境問題という言葉はネガティブな印象を持たれがちですが、楽しみながら解決する姿勢も大切だと思います。ゴミ拾いを「宝探し」というポジティブなアクションと捉えることで、子供から大人までが楽しむことができ、知らぬ間に環境活動ができているような社会が実現できたら嬉しいです。

ーどんな人に届けたいですか?

ワークショップの様子

環境問題は地球で生きる全ての人に関わる問題であるため、たくさんの人に伝えたいと思っています。しかし、ゴミがある景色を見たときに、子供たちは純粋であるため問題意識を持ちますが、多くの大人はその光景に慣れてしまっていると感じます。現在は子供向けのイベントが多いですが、本当は大人の方にこそ参加していただきたいと思っています。そして、大人から子供へと環境に対する思いを伝えていってほしいです。

ー作品のアイデアはどんな場面から得ていますか?

普段は自然の風景からアイデアを得ています。それから、自分の好きなアーティストや作家さんの作品や音楽からイメージを持つこともあります。また、お届けできなかった作品は自分の部屋に飾ることになるので、自分が眺めていて気持ちが良いものやインテリアとして飾ることができるような作品を作っています。

ーお気に入りの作品を教えて下さい。

今年の春にライブペイントで描いた「天国」というとても大きなサイズの作品です。祖母の死を経て、「天国とは何か」に関心を持ちました。死を迎えて命が身体から抜けた時、すべてが適した幸せに過ごせる環境であってほしいという想いが込められています。そこには人と共存する自然ではなく、自然だけの世界が広がっている天国をイメージして制作しました。

ー手や足など体を使った表現にはどんな意図がありますか?

ー直感に従って制作されているからこそ、作品に勢いがあるように感じます。
そうですね。特にライブペイントの際は、歌っている人の声や表現方法などから色が見えてくるので、イメージしたものを形にしていくことに夢中になっています。ジェットコースターくらいの速さで色が移り変わっていくため、考えるよりも気づいたら手が先に動いています。

ー大切にしている考え方はありますか?
「自分を一番大切に」という考えです。

ー日本では自分よりも他人を優先する風潮があるように感じます。
自分の欠けているところも愛せるようにと心がけています。社会問題においても、自分を愛すことで回り回って周囲の人も大切にできると考えています。例え母親でも、子供と同様に自分を大切にするように心がけています。

ー社会問題の解決にアートはどのような力を持つと考えていますか?

アート作品をきっかけに環境問題や社会問題に関心がない人にも、興味を持っていただけることだと思います。日常ではそういった大きな課題に関わる機会が少ないですが、身近なアート作品を通して少しでも環境問題や社会問題に興味を持ってほしいと思っています。7月にホテルで個展を行った際も、訪れたお客さんの多くは環境問題に関心がありませんでした。しかし、会話の中で作品や材料であるマイクロプラスチックについて説明していく中で、自然環境に関心を持っていただくことができました。

ー未来についてどんなことを考えていますか?

共存できる世界になっていってほしいと思っています。現在のような人間中心の世界ではなく、人を自然の一部と考え、個人だけでなく国や世界が共存を目指していくことを望んでいます。社会問題に関心がある人だけがアクションを起こすのではなく、社会としてより良い未来を目指していきたいです。

■作家プロフィール
宮崎栞奈

絵描き/アートパフォーマー
専門学校を卒業後、フリーランスで絵の活動を開始。自然や空想、命あるもの、その時の空気の色や感覚を絵で表現。また、環境問題、社会問題について考えるきっかけを作るようなアート活動をしています。個展やグループ展示、ライブペイント活動の他、CDジャケット、ロゴデザイン、グッズデザインなども行っています。絵は心の声、言葉のもっと奥深いところ絵具はおしゃべりツール。自然や空想の中に迷い込み、命あるものを探して描いています。

Lit .Link:https://lit.link/kannnna25
Instagram : @kannnna25

[今後の活動予定]

9月1日〜11月
cafe展示
⇨代々木上原 PUBLIC HOUSE 

9月25日
Cside march
⇨辻堂 テラスモール

10月1日
seeding marché
⇨沖縄、名護 coconova